≪チェックリスト付≫UI/UXとユーザー心理の基礎知識 サイト改善につながる5つの実践方法

UI/UXは、現代のWebサイトやアプリなどのデジタルプロダクト設計において欠かせない要素です。直感的で使いやすいインターフェースを提供しユーザーが満足する体験を設計することは、ユーザーの利用率や愛着を高めることに直結するためです。
一方で、UI/UXについて、漠然としか理解できていないという声も聞かれます。
そこで本記事では、UI/UXの基本的な概念からユーザー心理を考慮した設計法則、初心者でも取り組みやすい改善策まで、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
目次
1.UI/UXとは
はじめに、UIとUXの概要を解説します。
UI(ユーザーインターフェース)とは
UI(ユーザーインターフェース)とは、スマートフォンやパソコンの画面に表示されるボタンやメニュー、アイコンなどの目に見える要素すべてを指します。
また、スワイプやタップといった操作方法のようなインタラクションデザインもUIに含まれます。UIは、ユーザーとデジタルサービスをつなぐ役割を持ち、使いやすさに直結する重要な要素といえるでしょう。
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは
一方、UXはより広い意味を持ち、製品やサービスを使用する際にユーザーが得る体験全体を指します。たとえば、あるアプリを使用する際の「使いやすさ」や「便利さ」といった実用的な側面から、「楽しさ」や「心地よさ」といった感情的な側面まで、すべてがUXに含まれます。
UIとUXの密接な関係

UIとUXは、切り離すことのできない関係にあります。優れたUIデザインは、UXを向上させるための重要な土台となるからです。たとえば、直感的に操作できるボタン配置(UI)は、ユーザーがストレスなくサービスを利用できる体験(UX)につながります。
反対に、見た目は美しくても使いづらいUIは、ユーザーの不満を招くため、ネガティブなUXを生み出してしまいます。
2.UI/UXを成功に導くポイント
ここでは、UI/UXを考える上で重要なポイントを紹介します。

ポイント1:ユーザー目線で考える
Webサイトやアプリなどのデジタルプロダクトの成功は、実際にそれを使用するユーザーの満足度にかかっています。製作者自身の思い込みや主観的な判断ではなく、実際のユーザーが何を求め、どのように行動するのかを深く理解することが重要です。
エンジニアにとっては便利な機能であっても、一般ユーザーには複雑すぎて使いこなすことが難しい機能などに注意しましょう。
ポイント2:シンプルさと一貫性
優れたUI/UXデザインの特徴は、その無駄のなさにあります。最小限の要素でユーザーの目的を達成できるよう、画面上の要素を慎重に選択して配置することが重要です。
また、ボタンの配置やカラースキーム、アイコンの使用方法などの一貫性を保つことで、ユーザーは迷うことなく操作方法を学習できます。
ポイント3:フィードバックを得る
どんなに慎重に設計されたプロダクトでも、実際のユーザーの手に渡ってはじめてその真価がわかります。そのため、ユーザーテストやアンケート、行動分析ツールなどを活用して実際の使用状況を把握することが不可欠です。
定量的なデータと定性的なデータの両方を収集・分析することで改善すべき点を特定し、より良い体験を提供することが重要です。
ポイント4:アクセシビリティを意識する
デジタルプロダクトは、高齢者や障がいを持つ方も含め、あらゆるユーザーが快適に利用できるものでなければなりません。そのため、さまざまな観点でのアクセシビリティを確保する必要があります。
特定のユーザーだけでなく、すべてのユーザーにとってより使いやすいプロダクトを意識しましょう。
3.初心者でもすぐにできる!UI/UXの改善方法とは?
UI/UXの改善は、Webサイトやアプリケーションの成功に不可欠な要素です。
ここでは、初心者がまず取り組むべき改善方法を紹介します。

ボタンやリンクの配置をわかりやすくする
重要なボタンは、画面の上部などユーザーの目線が自然に移動する位置に配置することで、操作性が向上します。また、ボタンのサイズは指やマウスで簡単にクリックできる大きさにする必要があります。

フォントサイズと配色を見直す
本文のフォントサイズは14ピクセル以上を基準とし、長時間の閲覧でも目が疲れにくいサイズを選択します。見出しは、情報の階層構造が明確に伝わるよう、適切なサイズの違いをつけることが重要です。
配色は、適度な明度差を保ちながら、全体的に調和のとれた色使いを心がけましょう。

ページの読み込み速度を改善する
画像ファイルは適切な形式で保存し、必要に応じて圧縮を行うことでロード時間を短縮できます。また、使用していないプラグインや不要なスクリプトは削除し、サーバーの負荷を軽減することも大切です。ブラウザキャッシュを活用すれば、再訪問時の読み込み速度を向上させることができます。
4.ユーザーの心理的法則をおさえよう
UI/UXデザインにおいて、ユーザー心理の理解は欠かせません。人間の視線の動きや行動特性、感情的な反応を考慮することで、直感的で使いやすいデザインを実現できます。
たとえば、人間の視線は自然と左上から右上へ、そして左下、右下という「Z型」の順序で移動していきます。こういった法則を考慮してレイアウトを設計することで、ユーザーにとって使いやすいインターフェースを実現できます。
ここでは、UI/UXを設計・改善する上で知っておくべき心理的法則を紹介します。
ヤコブの法則
ユーザーは、過去の経験から得た馴染みのある操作性を期待する傾向があります。そのため、業界で標準的に使用されているUIデザインパターンを採用することでユーザーの学習コストを低減でき、スムーズな操作が可能になります。

ミラーの法則
人間が一度に記憶できる情報量は7±2個といわれています。たとえば、電話番号は「090-1234-5678」のようにハイフンで区切ることで、記憶しやすい単位に分割されています。情報を適切に分割して提示することで、ユーザーの記憶負荷を軽減することが可能です。

フィッツの法則
操作対象が大きく、近ければ近いほど、その操作は容易になります。そのため、重要なボタンは十分な大きさを確保し、アクセスしやすい位置に配置することで、操作性が向上します。

アフォーダンス
アフォーダンスは、デザインを見ただけでその操作方法が直感的に理解できる要素のことを指します。青色で下線が引かれたテキストはクリックできるリンクとして認識され、虫眼鏡アイコンが付いた入力欄は検索機能として理解されます。

美的ユーザビリティ効果
実際の使いやすさとは別に、魅力的なデザインのプロダクトは、ユーザーから使いやすいものとして認識される傾向があります。とくにトップページのデザインや使用する画像の質にこだわることで、ユーザーの許容度が高まります。

フォン・レストルフ効果(孤立効果)
周囲と異なる特徴を持つ要素は、印象に残りやすい傾向があります。そのため、特に注目してほしい箇所やボタンには、色付け・太字・サイズ変更などの視覚的な強調を加えると良いでしょう。

ツァイガルニク効果
人間は、未完了や中断された作業のことをよく覚えている傾向があります。この特性を活かし、タスクの進捗状況を可視化したり、未完了のタスクを強調して表示したりすることで、ユーザーのタスク完遂への意欲を高められます。

コントラスト効果
周囲と異なる要素は、自然と目立って見える効果があります。そのため、全体のデザインをあえて抑えめにしつつ特定の要素にコントラストを付けることで、重要な情報やアクションを効果的に強調できます。

決定回避の法則
人間は、選択肢が多すぎるとかえって決断を避けてしまう傾向があります。そのため、商品やサービスの提示方法を工夫し、ユーザーが選択しやすい環境を整えることが重要です。たとえば、商品を適切にカテゴリ分けしたり比較表を用意したりすることで、意思決定をサポートできるでしょう。
ヒックの法則
選択肢の数が増えれば増えるほど、意思決定にかかる時間は長くなります。そのため、メニューやオプションは適切な数に絞り、必要に応じてカテゴリ分けを行うことで、ユーザーの意思決定をサポートすることが重要です。
フレーミング効果
同じ情報でも、その表現方法によって受け取る印象は大きく変わります。たとえば「80%の確率で成功」と「20%の確率で失敗」は同じ内容ですが、前者の方がポジティブな印象を与えます。このように情報の表現方法を工夫することで、ユーザーにより良い印象を与えることが可能です。
ピーク・エンドの法則
体験の評価は、最も感情が高ぶった瞬間(ピーク)とその体験の終盤(エンド)に大きく左右されます。そのため、ユーザー体験のピークとなる場面や、最後の印象を重視したデザインが重要です。
ゲシュタルトの法則
人間は、複数の要素を個別の要素としてではなく、まとまりとして認識する傾向があります。この特性を活かし、関連する情報は近くに配置したり、同じデザインテイストで統一したりすることで、情報の整理と理解を促進できます。
カクテルパーティー効果
騒がしいパーティー会場でも、自分の名前が呼ばれると聞こえるように、人は自分に関係する情報に自然と注意が向きます。そのため、ターゲットとなるユーザー層(ペルソナ)を明確に定義し、それに応じた具体的な情報設計を行うことで、より効果的な情報伝達が可能になります。たとえば、「経営者向け」といったメッセージを配置するなどです。
単純接触効果
ある対象に繰り返し接触することで、その対象への好感度が自然と高まっていく効果を指します。このため、ロゴや商品名などを印象的なデザインにし適度な頻度で露出させると、ブランドへの好感度を向上させることができます。
系列位置効果
複数の情報が並んでいる場合、最初と最後の情報が記憶に残りやすいという特性があります。そのため、特に重要な情報はページの最初か最後に配置することで、ユーザーの記憶に定着させやすくなります。
ドハティの閾値(しきいち)
ユーザーのアクションが画面に反映されるまでの時間は、0.4秒以内であることが望ましいとされています。この時間を超える場合は、ローディングアイコンなどで処理状況を可視化することで、ユーザーのストレスを軽減することが可能です。
5.自社サイトのUI/UXを診断するチェックリスト
WebサイトのUI/UXを効果的に改善するためには、定期的な診断と評価が欠かせません。以下の表に、自社サイトのUI/UXを診断する際の重要なポイントをまとめました。
カテゴリ | チェック項目 | チェック (〇/×) |
---|---|---|
ユーザーが迷わず目的のページにたどり着けるか? | 検索機能は適切に機能しているか | |
重要なページへのリンクが適切に配置されているか | ||
パンくずリストやサイトマップが整備されているか | ||
デザインやナビゲーションが直感的か? | ボタンやリンクのデザインが一貫しているか | |
フォントサイズは読みやすい大きさか | ||
背景色とテキストのコントラストが適切か | ||
ページの表示速度に問題はないか? | ページの主要なコンテンツが3秒以内に表示されるか | |
Wi-Fi環境だけでなく、モバイル通信での利用も想定しているか | ||
モバイルでも使いやすい設計になっているか? | スマートフォンやタブレットでの表示が適切か | |
タッチ操作(タップ)に対応しているか | ||
テキストや画像のサイズが適切か |
6.まとめ
この記事では、UIとUXの基本的な違いや両者の密接な関係を解説し、ユーザー心理を活用した設計法則や具体的な改善方法を紹介しました。
UI/UXの改善はユーザーの満足度を高めるだけでなく、Webサイトやアプリの成功に直結する重要な取り組みです。
まずは初心者でも取り組みやすい施策からはじめ、継続的な改善を行っていくことで、より使いやすい魅力的なプロダクトを実現しましょう。