Webサイト運用に潜むサイバーリスク サイト運用フェーズで実施すべきセキュリティ対策とは?

インターネットの進化とともに、Webサイトは企業や個人にとって必要不可欠なツールとなりました。
その一方でサイバー攻撃の脅威は年々増大し、手法も巧妙化しています。
特に中小企業や個人サイトはセキュリティ投資が不十分なことから、標的にされやすいです。
本記事では、基本的なセキュリティ対策からより高度な保護施策まで、予算や規模に応じた具体的な対策方法を解説します。
目次
1.なぜWebサイトのセキュリティ対策が必要なのか
インターネットが私たちの生活に深く浸透している現代において、Webサイトのセキュリティ対策は重要な課題です。
ここでは、セキュリティに関する具体的な事例や最新の脅威について解説します。

サイバー攻撃の現状とリスク
近年、サイバー攻撃は急速に進化し、その手法は日々高度化・巧妙化しています。既に知られているSQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング(XSS)といった基本的な攻撃手法に加え、人工知能(AI)を活用した自動化攻撃や、人間の心理を巧みに突くソーシャルエンジニアリングを組み合わせた複合的な攻撃が盛んです。
2023年には、身代金要求型マルウェア(ランサムウェア)による被害が過去最大規模に達したことが報告されており、その被害は企業の規模を問わず広がっています。
WordPressの脆弱性対策の重要性
CMSの代表格であるWordPressは、世界中のWebサイトの約40%で利用されている人気のプラットフォームです。
しかし、残念ながらWordPressもサイバー攻撃の標的となりやすいです。WordPressのセキュリティ上の課題として、以下の3点が挙げられます。
1.ソースコードが公開されているオープンソースの特性上、脆弱性が発見されやすい。
2.導入が手軽である一方、多くのサイトで適切なセキュリティ設定がなされていない。
3.多様なプラグインを利用できるが、開発者のメンテナンスが不十分なプラグインも存在する。
WordPressで制作したサイトについては、十分なセキュリティ対策が必要です。
2.2024年のGoogleにおけるセキュリティ強化の主な取り組み
セキュリティリスクが増大する中で新たな脅威からユーザーの安全を守るため、Googleは2024年にさらなるセキュリティ強化を行いました。
その具体的な内容を一部紹介します。

パスワードレス認証の拡大導入
これまでのパスワードによる認証方式では、複雑なパスワードを覚えなければならない、同じパスワードを複数のサービスで使い回してしまうといった問題がありました。そこで、安全で使いやすい「パスキー」という新しい認証方法を導入しています。
パスキーを使うと、スワード入力の代わりに指紋認証や顔認証、あるいは簡単なPINコードでログインができます。

Safety Checkの機能強化
アカウントの安全性を定期的に自動チェックし、問題がないか確認する機能が導入されました。また、使用しているパスワードが情報漏洩に巻き込まれた際にすぐ通知する機能が追加されています。危険な設定が見つかった際には、ワンクリックで修正可能な提案機能も実装されました。

Google Workspaceへのセキュリティ機能導入
Google Workspaceでは、AIを活用した新しいセキュリティ機能が追加されました。特にメールセキュリティの分野で大きな改善が行われています。
AIがフィッシングメールやマルウェアをより正確に検出できるようになったことで、不審なメールや添付ファイルをリアルタイムで分析し、危険な場合は自動的にブロックする機能が実装されました。

ChromeでサードパーティCookieのブロック
Chromeブラウザでも大きな変更が行われています。サードパーティCookieと呼ばれる、Webサイトをまたいでユーザーの行動を追跡する仕組みが、標準でブロックされるようになりました。
この変更によってオンライン上での行動追跡が制限されたため、より安全なブラウジングが可能です。知らないうちに個人情報が収集されるリスクは、大幅に減少したといえます。
3.今すぐできる!サイト運用者向けセキュリティ対策4選
セキュリティ対策は多岐にわたるため、自社の状況に応じて段階的に導入していきましょう。本章では、具体的なセキュリティ対策をいくつか紹介します。
SSL証明書の導入方法
SSL証明書は、Webサイトとユーザー間の通信を暗号化する重要な技術です。個人情報やパスワードなどの重要なデータを安全にやり取りできます。
SSL証明書が正しく導入されていないサイトは、主要なブラウザで「安全でないサイト」と表示される可能性があり、信頼性にも影響します。
証明書の有効期限の管理をし、定期的に更新することが大切です。
STEP1 | SSL証明書の取得 |
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STEP2 | サーバーへのインストール |
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STEP3 | HTTPSの設定 |
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ファイアウォールの導入
ファイアウォールを導入することで、悪意のあるトラフィックを検知し、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)といった攻撃からサイトを守れます。
特に、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)はセキュリティ対策として非常に効果的です。基本的にレンタルサーバーで機能が提供されているため、必ず利用するようにしましょう。
ソフトウェアの最新バージョンへのアップデート
CMSやプラグインは定期的にセキュリティ上の脆弱性が発見されるため、常に最新版へアップデートしてください。ただし、更新の際は必ずバックアップを取り、テスト環境での動作確認を行ってから本番環境に適用することをお勧めします。
アクセス制限の設定
管理画面へのアクセスはIPアドレスで制限し、基本認証も追加することで、セキュリティを強化できます。また、管理者権限は必要最小限の担当者にのみ付与し、定期的にアクセス制限を見直すことが大切です。
なお、担当者の異動時には速やかに権限を見直し、セキュリティレベルを維持することが重要です。
4.リソースや予算に合わせた対策の優先順位
限られた予算の中で、どの対策から実施すべきか分からないという方もいるでしょう。
ここでは、セキュリティ対策におけるおすすめの優先順位を紹介します。

限られた予算でどこから始めるべきか?
セキュリティ対策は、投資額が少なくても高い効果が得られる基本的な対策から始めることをおすすめします。下記での優先順位が高い順に実施していくことで、効率的にセキュリティを強化できます。
優先順位①:最初に取り組むべき基本対策(外部コストゼロ)
優先順位②:低コストで行える対策
優先順位③:予算に応じて追加する対策(中〜高コスト)
無料から使える便利なセキュリティツール
近年は、無料から利用できるセキュリティツールも登場しています。
無料のため機能は限られますが、積極的に活用することでセキュリティを高められます。
ツール種別 | ツール名 | 概要 |
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SSL証明書 | Let's Encrypt |
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WordPressセキュリティプラグイン | Wordfence |
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脆弱性スキャンツール | OWASP ZAP |
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5.まとめ
近年、サイバー攻撃の手段は高度化・巧妙化しており、さまざまな被害が報告されています。
Webサイトのセキュリティ対策というと一見難しそうに感じますが、WordPressのプラグインやレンタルサーバーが提供しているWAFなどのツールを利用することで、セキュリティリスクを低減できます。
まずは、本記事で紹介した対策から実施してみてください。